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住宅ローン金利は、このまま上がり続ける?
ファイナンシャル・プランナー 畠中 雅子
 食品やガソリンの値上げに代表される生活コストの上昇は、家計のやりくりを直撃しています。皆さんも買い物をされるとき、値段のチェックに厳しくなっているのではないでしょうか。加えて住宅ローン金利も、ジワジワと上昇をはじめました。6月に住宅ローンを借りた人よりも、7月に住宅ローンを借りる人のほうが、高い金利が適用されています。

●融資の実行時の金利適用に注意
 金利の一例を挙げてみましょう。たとえば「財形持ち家融資」では、6月までは1.94%と2%を切っていたのに、7月以降(9月末まで)に申し込んだ分の適用金利は、2.55%にアップしました。6月30日の申し込みと7月1日の申し込みでは、1日で一気に0.6%以上の金利の差がついたわけです。財形持ち家融資は5年固定金利だけに、これからローンを借りる人だけではなく、返済中のご家庭でも、今後の金利変更が気になるところでしょう。2年固定金利や3年固定金利など、金利期間が短い短期固定金利タイプを選択したご家庭にとっても、最近の金利上昇のニュースを聞くと、ビクビクしてしまいそうですね。

 さらに怖いのは、申し込み時に金利が決まるのは、財形持ち家融資くらいしかないということです。ほとんどの融資は申し込みを完了した時ではなく、融資が実行されるときの金利が適用されます。申し込んだ時よりも、実際に資金を受け取る時の金利上昇幅が大きいと、借りられる金額がダウンする可能性もあるのです。金利上昇は、借り入れ能力を下げるので、物件の購入価格にも影響を与えることを知っておく必要があるでしょう。

●付帯サービス付き住宅ローンが続々登場
 とはいうものの、過去の金利の動きを見てみると、2年前の春ごろにも「住宅ローン金利が上昇!」と大きく騒いだ時期がありました。ところがその後、ジワジワと金利が下がってしまい、騒がれていたのとは予想外の動きを見せました。金利の動きは、過ぎてみないと実態がつかめません。

 そこで、これから住宅ローンを組もうと思っているご家庭では、「金利が上昇を続ける」といったパターンだけでなく、「いったん上昇するが、その後足踏みをしそう」とか「いったん上がっても、しばらくしたらジワジワと下がる」など、違ったシナリオも考えつつ、住宅ローンの借り方を検討してみることをおすすめします。

 借り入れの元金が多額なだけに、金利上昇の影響を大きく受けてしまう住宅ローンではあるものの、目先の安心だけにとらわれないことも大切です。金利上昇だけに目を向けて、長期の固定金利を選択した後、金利が思ったほど上昇しなかった場合は、住宅ローンの残高が減りにくいリスクを抱えてしまうからです。住宅ローンの残高が減りにくいことが気になる方は、「ローン選びを難しくする『上がりそうで上がらない金利』」(2008年2月7日)を参照してください。

 ところで、ここ数年は、住宅ローンの商品性が多様化してきています。たとえば、全期間固定金利型の代表的な住宅ローンである「フラット35」でも、返済期間が20年以下なら、21年以上よりも低い金利で借りられるようになっています。フラット35の導入時が返済年数に関係なく、一律の金利だったことを考えると、金利体系が柔軟になってきているともいえそうです。また、新規の借り入れだけではなく、借り換え先の住宅ローンとしてフラット35を利用できる機関が増えているのも朗報でしょう。

 住宅ローンの付帯サービスに目を向けてみると、今月から、ゆうちょ銀行とスルガ銀行で取り扱いをはじめた「子育て応援特典制度」は、対象となる住宅ローンを借りているご家庭で、返済の途中でお子さんが生まれた場合に、1人生まれるごとに住宅ローン金利が0.1%優遇されます。優遇された金利は、返済の終了時まで継続。これから出産を考えられているご家庭にとって、メリットのある住宅ローンといえます。

 ゆうちょ銀行が住宅ローンの販売に力を入れるのに対抗して、地方銀行でも住宅ローンの新商品の開発に力を注いでいます。具体的には、地方銀行55行で協力して「地銀住宅ローン共同研究会」を立ち上げ、女性への付帯サービスが充実したローンなど、新タイプの住宅ローンの発売を目指しています。

 東京スター銀行の住宅ローン「スターワン住宅ローン」には、返済の開始2年後以降であれば、利用者の希望によって最長36か月まで、元本の返済を1円まで減らせる「返済休暇」のシステムがあります。出産で仕事を休んでいるあいだは、返済額をグンと下げるといったニーズに応えられる住宅ローンです。住宅ローンの元金の返済を減らすわけですから、そのままにしておくと、返済総額が増えてしまいますが、育児休暇から復帰したら、繰り上げ返済をしてカバーするなど、ライフプランに応じた返済計画が立てられます。

●4~5行の金利や返済プランを比較して
 金利面に焦点を当ててみると、金利が低いことで人気なのは、新生銀行や住信SBIネット銀行などです。新生銀行の「パワースマート住宅ローン」では変動金利が1.9%、3年固定が2.25%(いずれも7月に借り入れを実行した場合の金利、以下も同じ)と、他の銀行に比べて低く抑えられています。借り入れ当初に、借入金額の2%の手数料を支払う「バリュータイプ」なら、5年固定金利でも1.938%です。一方、長期固定金利は、20年固定金利なら2.95%、25年固定金利なら3.0%になっています。これらは、フラット35と十分に競える金利水準だと思います。

 住信SBIネット銀行は開業間もない銀行ですが、1年定期に1%(8月31日申し込み分まで)の金利を付けるなど、魅力的な商品構成の銀行として注目されています。住宅ローンの金利も魅力的で、借り入れ当初の金利の優遇幅の大きいタイプなら10年固定金利が2.4%、20年固定金利で2.73%。借り入れの当初は30年を超える期間で住宅ローンを借りたとしても、繰り上げ返済をして20年程度に短縮できそうなご家庭では、20年固定金利を利用すれば、フラット35などの全期間固定金利タイプよりも、返済総額で有利になる可能性が十分にあるでしょう。

 今回ご紹介してきたように、住宅ローンは商品性も多様化していますし、金融機関ごとの金利差も開いてきています。金利が上がれば、住宅ローンの負担は増えますので、複数の機関に足を運んで、いくつもの返済プランの比較し、少しでも返済額を減らす努力が今まで以上に求められているといえるでしょう。


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●畠中 雅子(はたなか・まさこ)さんのプロフィール●
 1963年東京生まれ。日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP。新聞・雑誌などに連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などをおこなう。2男1女。「子どもにかけるお金を考える会」を主宰。

 我が家も住宅ローンを返済中。返済しているローンのひとつは金利変更の影響を受けるので、私にとっても金利の行方は気になるところ。金利上昇を抑えるために、繰り上げ返済するのは効果的ですが、教育費のつもりで貯めていたお金まで繰り上げ返済にあてるのは慎重に。住宅ローンの残高が減っても、新たに利息の割合の高い教育ローンを借りては意味がないからです。繰り上げ返済のしすぎで教育費が足りなくなって、教育ローンを借りる人が増えていることも、気にかけておく必要があるでしょう。


(2008年7月3日 読売新聞)



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